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の日常観察
●平凡な日常をすばらしいモノに変えてくれる。それが日記●


生まれて初めて日記なんぞに手を染めてみる。
電波系の俺がいつまで書き続けるか楽しみである。

  
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8月1日 近況:アパートの隣人はマサイ族のアニメーター
〜前回のあらすじ〜
今月仕送りなしと言う過酷な自然環境の中、生き残りをかけた過酷なチキンレース
に巻き込まれた男、ヨビ(自称永遠の二十歳)がついに手を出したオッパイミサイルとは!?

そんなこんなで金銭面での潤いを求め、いざ挑戦したのが「交通量調査in真夏の公道」
朝5:30分という朝に集合させられ、ランダムで編隊を組み、いざ現場に投入。
ここまではよかった。
俺を含め、か弱きアルバイター達はその後起きる悲劇の片鱗すら予感してなかったのだから…。

ーある韓国人のサバイバル日記ー
八月一日 
時刻は午後を過ぎた頃、真夏の太陽が俺達を照りつける。
本日の気温は気象至上今年の最高温度を更新したらしい…。
それを知る由もなく、足かせ、手錠に首輪で拘束された俺達は為す術もなく
ただむなしく通り過ぎる鉄の箱をカチカチカウンターしていた。
「うあぁぁぁぁ!もうたくさんだ!!」「よせー、ジョニー!!」パンパン!
目の前で自由を求め脱獄して射殺されたジョニーの姿がちらつく中、やっとこさ迎えた
交代の時間。しかし、涼む場所すらないこのバイパスと言う仙台砂漠でナニをしろと!?
焼けたアスパルトの上で少年はもがき苦しんでいた。自由など残酷すぎる…。

午後を過ぎ、キリング太陽光線が収まったと思った時、私たちは天に感謝した。
その瞬間、降しつける豪雨。この世に神などいない…。
自分たちの命より貴重な調査書を身をもって守れとのフューラー(総統)の命により
我が身を雨にさらす。震える手を吐息で暖めながら黙々とカウンターする同志達。
ベトナムの密林での戦闘を思い浮かべながら苦笑いを浮かべる。
「ここは仙台なのか?それともスコール降りしきるジャングルか?」
もう、目の前がちらつく。ご免よ、ジョニー。キミの分まで生きていけそうにない。
最後に一言。交通量調査は春秋にするもんだな…。
あばよ……。


本日の稼ぎ:9、000円&真っ黒なバイト焼け&シャワー代。
失ったモノ:正気&やる気


8月2日 状態:ジジイとババアがクロスカウンター!
家族襲来!!
ウチの母と弟が祖国より襲来。
前日、部屋や洗濯物を片づけるのに全気力を費やした俺が3kg減量したのは
さておき、「逢いたかったよ〜、ママ〜ン」「息子よ、ワシもだよ〜」と
感動の対面もつかの間、部屋をくまなく捜索されあっけなく緊張状態突入。
ガビガビのエロ本を発見されなかっただけでもヨシとしよう…(前向きな姿勢)

我がヨビ兄弟の末っ子
「ハニ」は相も変わらず俺を圧倒していた。
実はコヤツ今まで死線を幾度もなく超えてきた我がヨビ家のリーサルウェポン。
2年前はアパートの五階から落ちても生還し、全身マシーンのサイボーグとして
蘇った男。近々電脳化するのではとの噂がまことしやかにオンエア中の
ファンキーサイバーヤロウだ。
開口一言が「兄キー、国ではヤクがよ〜、スゲーのがあってよ〜」
おい、ハニよ。毒々しい俺でさえそんな放送禁止用語ギリチョンの発言は
言わんぞ、コラ!
「日本でゲーム買って向こうでコピーで売るんだぜ〜10倍でよ〜」
おい、ハニよ。それはこの国では犯罪と言うんだぞ。
「マシュマロ食べた〜い☆」
おい、ハニよ。いきなり訳わかんないカワイイこと言うなや〜。

当分は眠れない夜が続きそうな中、皆さん、私は元気です。


8月5日 問題:回らないドリルと回るシコルフスキ。戦うならどっち?
祖国から襲来した我が弟
「ハニ」が呟く。
「エデ公の面(ツラ)を拝みて〜」
直訳しよう。「プラネットオブエイプ(新・猿の惑星)」が見たい、だそうだ。
「話せば判るジャン!兄キ〜。ヤニ切れた〜」
黙れ、下等な北京原人の末裔め。俺のブサイクキリングパンチが唸るぞ。
「オラ、ハンサムだからイタクナーイ」
中途半端な物まねだな、ってお前何処でそれを知った!?
「世界は常に進歩してるのだよ。アニキ殿」
…………俺の負けだ。

「プラネットオブエイプ」を見るついでに「A.I」まで見る謎の韓国人兄弟。
彼らの明日はどっちか……。
神のみぞ知る。


8月6日 状態:「チョド」:ちょっとお嬢さん、
          ドリルの調子はどうですか?の略


朝5時。俺「ヨビ」と弟「ハニ」は自宅「ヒミツキチ」の前にて待機していた。
本日未明、我が親愛なる
友人Aより
「福島あぶくま鍾乳洞、入水鍾乳洞を爆破する。協力要請。」
との打電が入った為、思い思いの装備で我らDKB(デンジャラスコリアンブラザ)
はまるで遠足前の子供のようにはしゃいでいたのだ。
ハニ「いい年のオトナがなにキャイってるんだよ〜」
いや、どうやら浮かれてたのは俺だけらしい…。

黒塗りの死ー魔にもって登場、我らが友人A。初対面の「ハニ」が気に入ったらしく
運転中はヤツとばかり会話に浸る。
「兄キは7才まで一人でトイレいけなかったんですよ〜親分、ケケケケ」
「そうか、こいつは腰抜けチキンヤロウだからな〜ぐへへ」

コロスと書いて
やるか…

そんなこんなで2時間かけてあぶくま鍾乳洞に到着。
無意味にインテリジェンスなトイレの前で記念撮影を取ろうとするハニを
無理矢理引っ張って行く。「韓国には公衆トイレもないのか?」
「人は排便する場所にロマンを感じるのだよ、兄貴君」
……共感してしまった俺も同じ穴の狢か…(泣)

あぶくま鍾乳洞は全国でも有数の巨大洞窟。壮大なる岩の宮殿に
俺は冒険心を燃やして食い入るように堪能した。

その頃、ハニと友人Aは鍾乳洞の奥にある水たまりに10円玉をすさましく
フォークで投げつけていた。
お願いだ。他の人が見ているところで鍾乳石めがけて力一杯
投げるな。
かという俺も笑いながら投げつっけていたのはさておき。
後半に続く…

○●次回予告!!●○
強力なキャラクター性で人気投票一位に迫るブラザー「ハニ」
それに抵抗するにも影の薄い兄「ヨビ」に残された秘策とは!?
次回、「最近、全然毒が足りないんじゃねーノフスキ!」
ペレストロイカの遺物が日本をねらっている!(決め言葉)


8月7日 状態:脱獄死刑囚と対決。
          勝利の決めてはブサイクスレイヤー

あれから三年…、ではなく、あぶくま鍾乳洞を後にした我らDKB(デンジャラスコリアンブラザ)
&友人Aはメインディッシュである「入水鍾乳洞」に到着する。
この鍾乳洞は全長1kmの長さを誇る上、途中から這い蹲らないと進めないほどの
低い道や水温4〜5度の水路などがあるまさに体感、探検型の鍾乳洞なのである。
装備は以下の通り。

米軍L字型ライト(3、500円)
カーキ色短パン(4,000円)
スリップ止めスパイク付きサンダル(5,000円)
MAG社小型ライト(2,500円)
冒険を楽しむ心(フライスレス、別名タダ)


いざ向かうは死の淵、地底の神秘「入水ダンジョ」
Aコースは水路や低い洞道がないため、比較的簡単に進む。
「楽勝じゃん〜」のんきな俺達兄弟に経験者友人Aは警告を放つ。
「洞窟をなめた者は洞窟に死す」
そして突入したBコース。別名「選ばれ者のみ通される覇道」
その意味をすぐに知る事になろうとは……。
進んで10分で血文字で「第一胎くぐり」とお水系のお店と間違えるような
岩の切れ目にたどり着く。到底Lサイズ俺が通れそうにないこの切れ目に
俺は目を見張っていると「ここを通る最中に挟まって死んだ人がいるらしい…」
とマジ顔で言い出す友人A。
「マジですか、隊長殿!?」戦慄する俺と細笑む友人Aを後目にハニはするりと
抜けて行く。それに続く友人A。「ここを通れないヤツはクズだよな〜カーペッ!」
向こうで胎くぐりを余興を味わう奴らに俺の長年心の奥に封じた修羅が目覚めた。
「キェェェェェ!」奇声と共に体ごとつっこむ俺。ギチギチの空間に挟まれ、気が遠くなるのを
省みず俺の修羅はなおも突き進み、そして貫いた!!(ドキャァァァァァン)
「貴様らに受けた屈辱をここで晴らしてくれようか…」
赤く光る我が眼に戦慄する彼らに躍りかかる奇獣ヨビ。
「ゴーーーーーン」澄んだ音と共に友人Aは鍾乳石に頭を豪打して沈む。
これで悪は滅びさった…。

水浸しになりつつ這い蹲って進んでは水の中を匍匐前進する末についに
俺達は目的地であるBコース最終地点「カボチャ岩」にたどり着く。
「売店もないのかよ〜カーペッ!」国の天然記念物にツバするハニ。

疲労困憊の体を引きずり地上へ向かった俺達は出口へとたどり着く。
地底から見た出口はあまりにも眩しすぎた。「生きてるっていいよな〜」
生きる感動に浸る我らDKB(デンジャラスコリアンブラザ)とコブ付きの友人A。
きっと今日の感動は明日の生きる糧になると信じて今日の日記の幕を閉じる…。
願わくは今日の出来事が我らの友情の証になることを夢見て……。
〜Fin〜

「ガハハ〜イワナうめ〜」
「囲炉裏でマシュマロ焼いていいすか〜?」
「シケた店だぜ、カーペッ!」
下の茶屋で毒を振りまく三匹の悪魔どもに店のおばちゃんと
謎の少女は震えていたのはまた別の話…


8月9日  近況:隣の席のおばさんがいきなり無呼吸打撃を放つ。
ボリショイ!昨日、父が韓国から来て今日帰国。
生まれて初めて親と真っ向から対立する。

きっと子供はそうしてオトナになっていくのね〜そうなのね〜
ちょっとブルーだけどな…。

そんなこんなで皆さんも親とはしょっちゅうコミュニケーションを取りましょう〜。

もう今日は駄目っぽい。クソして寝るべ〜


8月14日 状態:キミの瞳はアルゴンレーザー射出機。
家族がアラシのように去って行ってから、安息の日々を取り戻したのもつかの間。
東京から恐ろしく危ない奴らがやってきた。
キリマンジャロの殺人トーカー「あとり」ドウジンスキー
キリングアーティスト「adi」ムシツカイスキー
彼らロシア系TRPGトーカーが仙台に潜伏するという情報が手に入ったのは数日前のこと。
そして、先日俺の電話にコールしてきたのは紛れもない「アトリ」ドウジンスキーであった。
「ヨビクン、キミの噂はかねがねより聞いてるスキー」
電話越しでヤツが細笑んでいるのが、手に取るようにわかる。
「ペレストロイカの残党め、なにが望みだ?」おれは手元のブランディを蒼って吐き捨てる。
「望み?キミの口からそのような言葉がですとはヴォトカー」
「…よかろう。望み通りセッションをしてやる。」
「メルシ〜」ガチャッ!ツーツーツー
俺は受話器を投げ捨てて吐き捨てた。「このエセロシア人め!メルシーはママの味だ!!」
(注:ママの味はミルキーです)

夕暮れに赤く染まった荒野のミスドで彼らと俺は対峙していた。
「…お久しぶりでスキー」 
張り付いた笑みを浮かべて「adi」ムシツカイスキーは手をさしのべた。
彼とはTOKYOで何度か死闘を挑んでは引き分けた仲。
知っているかといって侮れない…。俺の長年の戦場の感がそう告げた。
「ようこそ、狂気と牛タンの街SENDAIへ」
それが奴らと俺との壮絶なる戦いの幕開けだった。

ーTo be continueー


8月15日 近況:うちの親父、左手にサイコガン。
廃れきったこのヒミツキチに異国の客人を交えてのTRPGセッション。
File1:「あとり」ドウジンスキー。通称「あとり」
File2:「adi」ムシツカイスキー。通称「adi」
奴らは張り付いた笑みを浮かべながら牛タンを頬張っていた。
「SENDAIのコノ牛タンという食べ物はとってもいいでスキー」
肉汁をまき散らしながら、エセロシア語をしゃべる彼らに侮蔑の表情を浮かべるヨビ。
「その牛タンまみれの口を黙らせてやる奴らを紹介しよう」
バン!「おう、そいつらが噂のロシア人どもか」「来てくれたのか!らくい、あず!!」
File3:K.M.B(KOKUBUNNTYOーマンチキンバスターズ)実行部隊隊長「らくい」
File4:どん欲なる深淵のごときチーターウーマン「あず」
そして、File5:墜ちたる獣のごとき夜叉猿コーリアン「ヨビ」

舞台と役者はそろった。 後はお互いの血を血で洗い流すのみ。
抗争の臭いが漂い始めたこのヒミツキチ。あとりが提案したTRPGルール。
それは「ダブルクロス」
いま、巷で一番新型でホットなこのシステム。レネゲイトウイルスに感染して
超人的能力を得た哀しき異能者の物語を紡ぐというウエットなシステムを提示するとは
この男ただ者ではない!緊張が凝縮し汗となりしたたり落ちる。
あとり、adiの口元がかすかにゆがんだ。ここで引いたらツブされる…。
俺の直感がそう告げた。

セッションは波乱に富んだ。俺がUGNチルドレン高校生で奴らを沈めようとしても
あとりの冴えるマスターリングとadiのPCであるオヤジがそれを阻む。
adiのオヤジキャラはあまりにも強烈だった。自分で地雷を設置しては間髪入れず
自分で踏む!!コノ行程に誰も割り込めずダブルクロスのセッションはもはや
奴らの思うつぼに陥っていた…。
「こ、こいつら、タダのロシア人じゃね!クレイジーだぁ!!」らくいが悲鳴を上げた。
KOKUBUNTYOーの狂気の夜はまだ始まったばかり…。
ーTo be continueー


8月16日 状態:雷走るこんな日に爺さん屋上でラジオ体操
「カーカカカ、約束通りSENDAI観光ゆらり旅をして貰おうスキー」
歴史的惨敗を記したこの俺にあとりからの余裕の発言。
ヤツの目が勝利で曇っているウチにヤルか…。
寝静まった我がヒミツキチの布団の中で俺は一人ペイシン(黒星)に
9mmパラを積めていた。
しかし負けは負け。そんな大人びた寛容な心も大事となくなった隊長殿の
優しい言葉を思い出し苦笑う。もう迷いはなかった。

翌日、adi、あとり、あずを連れて俺の愛車「ナイトメアー99’」を飛ばし
SENDAI名所の松島に向かう。
「おおー、海が見えるナリ〜」「島があんなにキレイなんて…」「俺感動〜」
しばし皆の心が通り過ぎて行く夏の海に奪われていた。
昨日のあの惨劇がまるでウソみたいに車内には和気アイアイのムードが漂う。
ー五分後ー
花火大会の渋滞に巻き込まれてエンゲル値数150%増加に伴い、
車内は修羅場と化した。
「悪魔降臨サタンの僕よ!!」「メラーメラミーメラゾーマ」「俺の熱い脇臭をかげ!」
「日本沈没5秒前!!」誰もオレ達を止められない。
過ぎゆく松島町第一町民をガラス越しに威嚇してみたり、
丈の短い浴衣姿のねーちゃんを見ては「綺麗な足論争」を繰り広げたりと
まさに即発の危機に瀕していた。
ー五分後ー
俺御用達の海鮮屋に着いては焼きウニ、ホタテ、タコ、ツブ貝などを頬張る。
幸せな一時を過ごしてadi、あとりが満足な笑みを浮かべた瞬間、
俺の中の悪魔が目を覚ました。
「今日のウニはあんまり美味しくねーなー」全国143万のヨビファンが
「そんなのヨビ様じゃない〜」と叫び狂うコノ発言にadi、あとりが激怒。
SENDAI側のあずも敵に回り、ロシアの遺物AKを乱射。
雨のような弾丸にさらされる中「俺ウニ食ってないし〜」と走馬燈のように呟く。 
ー五分後ー
松島の小高い丘に名のない墓が一つ建っていた…


8月24日 状態:本日はシェフの気まぐれチャーハン。
              「イグアナチャーハン」


TRPG…。テーブルトークロールプレイングゲーム。
今思えば全ての始まりは親愛なる「ファンタムズアドベンチャー」なるTRPGからその
洗礼を受けた。 コリア・プサンシティの寂れた古本屋さんに眠っていた、かの書物に
より俺は今この狂気に満ちた世界に足を踏み込んだのだ。 
甘美で背徳に満ちたこの世界に。

ー「死と隣り合わせのTRPGプレイヤー、その思考体系及び実験考察」よりー
ー被験者『y0b1』の証言抜粋ー


上(ペンタゴン)からの指令を受けネバタ州グリーンビル空軍基地特別病棟に赴いた
私、ステファン=ロイド、は自分の役職「生物兵器災害対策本部調査員」に密かに不満を抱きつつあった。
近年発見された「TRPG依存症候群」通称『T.S』が日本国の新手の遺伝子操作ウイルスと言う
第三国からの警告を上層部が懸念し、当時末期感染者として特別病棟に収容中だった
あるキャリアに面会を命じられたのが夫「マーティン」との2度目の結婚記念日だったからだ。
国を愛する軍人としての義務と夫への愛情がせめぎ合うなんて、2年前には考えられなかった。
それぐらい私にとってはマーティンと言う存在は大きくなったのだ。
また、いつものように調査任務を早く終わらせて帰る。
それだけを思い自分を励ました私が病棟の中でその奇妙な東洋人、クランケナンバー3567-G「ヨビ」を
目の当たりにしたとき、一瞬にして言葉を失う。

やせ細ったその腕に浮き上がる血管、そこよりのびてる無数のチューブ。
異様なほどやせ焦げた体に無数のベルトがついた拘束具。鋼鉄製の猿具輪。
そして、部屋に所狭しと殴り描かれた無数の
ヘキサゴン(六面体)。ヘキサゴン。ヘキサゴン。
職員のベイブさんが耳打ちする。
「彼は拘束していても先週来た精神科医を墜としました。くれぐれもご注意を」
墜ちる、すなわちTRPGなる甘美な罠に没頭させ、おぼれさせ、いずれは精神崩壊に至らせる事。
私のツバを飲み込む音を聞きつけたとでも言うのか、そのキャリア「ヨビ」は
閉じていたその目を開き私の方を見つめた。深い穴のような目。まるでボトムのよう…。
ベイブが猿具輪を開くと彼は意外にも気さくな、それでいて優しい口調で私の声をかけてきた。
「やあ、女性が来るとは思わなかった。これなら上等なタキシードでも着て
ワインでも買っておけば良かったよ」
彼はジョークを言うと私にイスを勧める。 私はその優しい言葉の裏に言いしれぬ恐れを抱いた。
まるでなにか、とてつもない、触れてはいけないモノを隠しているような、そんな気が…。

用件を簡単に述べた私は録音機にスイッチを入れる。
「では、アナタの名前を」「ヨビ」
「元所属していた役職、及び階級は?」「SENDAI第二師団情報課特務部隊少尉」
一通りの形式上の確認質問が淡々と続く。彼は私を見ている。
無表情なその目がかえって私の意識を引きつける。集中できない。
「そんな、形式ぶった説明は先週の面会で死ぬほど吐いた。本題を」
うち切るような彼の発言で私は一瞬びくりとする。恐れているのだ、この男を。
そして、この質問に…。
今まで面会したキャリア達の口にあがったこの単語。そして、その意味を問いただすと
ことごとくある者は恐れ、ある者は泣き叫び、ある者は自分の命を絶つまでに至った、
その単語への質問に…。
「ロイド中佐殿。質問を」彼は再度促す。まるで私の反応を楽しむかのように…。
「では、聞きます。JGCとは?」不覚に声が震えた。
「……ワンモア」彼は笑った。彼の口元が歪む。
「JGCとは!!」
立ち上がった拍子で病室用の丸イスは乾いた音を立てて転がった。
彼はそれを見て微笑んだ。「アナタに気に入った、ロイド、いやステファン嬢。良いでしょう、話を」

今思うとあの日の事は夢のように思える。彼の口からではあの発言は
今もまだ私の耳に焼き付いている。どうか、夢なら覚めて欲しい。いまでもそう思う…。

ーTo be continueー


8月25日 状態:隣のリアカージジイ、パリダカールに出場。

2001年TOKYOーシティ…。SENDAI第二師団情報課特務部隊少尉だった俺が
あの地に潜入したのは忘れもしない晴天の青空広がるある夏の日だったよ。
今思えばあの任務が俺の最初で最後になろうとは…フフッ。
今思うとうぬぼれていた…。
きっと昨年その地に赴き、任務を“ほぼ”成功裏に納めて無事帰還したその奢り、
ある意味愚かさ、が俺を感を鈍らせたんだろう…。
なに?本題に入ってくれだと?
フフ、アンタの望んでることは事実だけたったな。この忌々しい仕事を早く済ませて家にいる愛しい
ダーリンとイチャつきたい、そんなところだろ?
へへ…。まあ、おこるなよ。語ってやるからよ…。
かいつまんで言うとそのJGCってなヤツはいわば、ホテルを貸しきりにしたTRPGの一大イベント、みたいなものさ。
しかし、それはJGCの本質ではない。問題は中身さ。

あの日、俺がそのJGCに着いた時はすでにチェックイン時間が迫っていた。
近くのコンビニに立ち寄ったが、モノの抜け殻。なにも残っちゃいなかった。
オタクどもが飢えていたのさ。この俺を含めてな。肉体的にも、そして、精神的にも…。
俺はその足で急いだ。GMする時間をずらすためにな。俺が申し込んだのは始まってすぐ。
しかし、何かの手違いで当日の司令書が手元に届かなかった。いざ、蓋を開けてみたら
フリープレイでGMする時間と俺の偵察任務の目玉のイベントがかち合っていた。それだけだ。
しかし、時はすでに遅かった。開始一時間前なのにすでにPLが決まっていた。俺はそこでまず
第一の敗北を記したのさ。

しかし、腐ってもTRPGマスターとして任務を遂行する。それが俺の生き様、だった。
開会式もそこそこに俺は戦闘態勢に入った。
装備は天羅万象零。サブに合気チットを携え、いざ戦場へ。
PLはすぐに駆けつけてくれた。シナリオはいつも慣れているモノをチョイス。後は楽しむだけ。
しかし、奴らはただ者ではなかった。イカスロールで俺はてんてこ舞い。
巫女を使ったPLがサムライPLのサムライは「私が入れました」と宣言。
マジでシナリオ調整で思わず吐血だよ、吐血。結果的にはそれがいいスパイスになって
楽しめたんだけどな。 今思うと俺もかなり緊張していたんだと思う。
簡単なレーションで食事をとり会場をぶらついてると、俺は懐かしい戦友に再会した。
「キミヲ=マクレイン」TOKYOの中で勢力を持つ元パルチザン工作員。
ヤツはかねてより俺に紹介したい協力者がいるといい、俺を連れて深夜硝煙が漂う
ロビーに連れ出した。
あの時の衝撃はいまだに忘れない。あれは…。アレは…!!!

「あ、アレとは?」私、ステファン=ロイド、は息をのんだ。
彼「ヨビ」の指が拘束具越しに自分の方をかきむしるのが判る。
「おしえて!あれっていったい何なの!?」今一度問いただした。
もしかしたら声を張り上げていたのかも知れない。
彼は頭をあげ、しおれた唇で呟いた。
「やつら…、奴らに会ってしまったんだ…」

ーTo be contin






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